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釉膚が柔らかく焼上がり、手取りがよく味わい深い古黒織部沓茶碗である。
口縁に櫛目を付け膨らませた沓茶碗で、口端は箆彫りで高低を付けた山路にしている。
胴央やや上を深く轆轤目で窪みを廻し、そのすぐ下部に等間隔で五ヶ所の箆面取りと×印の箆目をつけている。
また胴裾には細幅の箆目を廻し、底面畳付には、細やかに箆作りで施された高台が削り出されており、底面全体に薄く長石釉が施されて味わいを深くしている。
織部の沓茶碗にはよく見られる器形ではあるが、なかでもこの茶碗は、作行が整っていて全体に調和の取れた姿であることが、この茶碗に品格を感じる要因所以であろう。
 
本茶碗に施されている黒釉は淡い色調の黒釉で、透明釉との片身替わりとなっており、白抜きの部分には抽象的な幾可学文様が描かれていて、この文様と姿形からの連想で先人が「山家」を銘としたのであろう。
 
【参考】黒織部
黒釉(普通長石釉に鬼板を加え、マンガン、紅板などを入れて作る)を掛けるとき、窓とよばれる間をあけて、その部分に鉄絵具で絵や文様を描き、その上に長石釉または灰釉を掛けて焼く。
器種としては沓茶碗が多く、茶入、香合、水指などがあるが、何と言っても織部を代表する大胆かつ斬新なデザインには驚かされるところがある。
 
安土桃山時代といえども封建で閉鎖された社会で、かかる個性あふれ自我のみなぎる力強い造形、加えるに西欧の抽象画、幾何学文様を窓いっぱいに強烈に表現する自由の精神は、沓形の変形表現に極まり迫ってくる。
なお、器肌の黒釉の一部を搔き落として文様を描き、長石釉または灰釉を象嵌する技法や、黒釉の施釉前に、切り紙などを貼って白抜きする技法などもある。

古黒織部沓茶碗「銘 山家」

SKU: 0007
¥850,000価格
数量
  • 時代        桃山時代
    口径        13.5×12.5cm
    高さ        8.0cm
    高台径        6.3cm
    付属品        時代桐箱・
    その他        縮緬仕覆・更紗包布付き

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